最新の小児の虫歯への考え方

近年、小児の虫歯治療は今現在痛みがあるケースで痛みを取ると言う理由以外で虫歯治療を行う事が決して意味のある事ではないという流れになってきており、それを証明するような形の信頼度の高い論文が発表されました。

2019年11月26日の the Journal of Dental Researchにて発表されたものです。

この雑誌は歯医者の論文を取り扱う雑誌の中で最もインパクトファクター(信頼性を表す指標)が高く、厳しい審査を通った優秀な論文が掲載されています。

その内容をご紹介しますと、

同研究には、英国のダンディー大学、ニューカッスル大学、カーディフ大学、クイーン・メアリー大学、リーズ大学などが参加し、全英72件の歯科医院から抽出された視診により最低1個の乳臼歯う蝕に罹患していると診断された3歳から7歳の小児患者1,144名が対象となった。

それぞれの小児う蝕に対して、以下の3つの治療法のいずれかがランダムに選択され、最長で3年間の経過観察が行われた。

治療法① 
う蝕には触れない。新しいう蝕に罹患しないために、糖分の摂取量の抑制、フッ素配合歯磨剤を用いた1日2回の口腔清掃の推奨、フッ化物バーニッシュ、萌出してきた第一大臼歯へのフィッシャーシーラントを行う。

治療法② 
う蝕を除去して、CRなどで充填を行う。+ 予防処置を行う。

治療法③ 
MI(minimally invasive)アプローチとして、う蝕を金属冠ないし充填材料で密閉し、う蝕の進行を抑制する。 + 予防処置を行う。


結果
・    小児患者がう蝕による痛みを感じる
・    根尖病巣が確認される
・    QOLが低下する
・    歯科恐怖症になる
という基準において、どれか一つの治療法が、他の治療法より優れていることはなかったとされました。

つまり、虫歯の治療をしっかりしようが応急的にすませようが手を全くつけないとしようが、予防処置をしっかり行っていれば子供の生活の質が落ちる事は無かったという結論に達しています。

最も大切な事は治療をする事ではなく予防をしっかりとする事治療をすれば良くなるは誤っていた。

ですので、お子さんに仮に虫歯ができてしまったとしたら、

歯みがきの徹底

フッ素を使用した虫歯予防

食生活の見直し

を徹底して行い、治療ができる適切な時期になったら治療を行って歯の形態を元に戻していく事が大切です。


虫歯で歯が崩壊

虫歯の原因は歯みがきができていないだけ?



よくお母さん方から、お子さんのお口の点検の際に虫歯が見つかると、歯磨きはしっかりしているのになんで虫歯ができるんですか?


といった質問を頂きます。

結論からお話しすると、歯磨きをしっかりしていても虫歯の原因は歯磨きの上手い下手や、回数だけではありませんので歯磨きをしっかりしていても虫歯が出来てしまうことがあります。

虫歯がどのようにして出来てしまうのかを知ることが大切です。

虫歯の原因は私達の口の中にいる細菌ですが、実は虫歯の原因となる細菌は2種類しか存在しません。

この2種類の細菌は他の数多くの細菌との違いは私達の食べ残しや磨き残しを栄養源として強い酸性の毒素を放出する事です。

お口の中は本来アルカリ性を維持しているのですが、この酸性の毒素が放出されると、部分的に強い酸性となってしまいその酸性に耐えかねて歯はダメージを受けていきます。

食事をして歯磨きを適切にし時間の経過により酸性は次第にアルカリ性に戻っていくのですが、お口の中がアルカリ性に戻るとダメージを受けた歯を修復してきます。

しかし酸性の時間が長くダメージが大きいと、アルカリ性の時間の歯の修復が間に合わずに結局虫歯となってしまうのです。

食後にお口の中が酸性になり、食後に歯磨きを頑張りお口がアルカリ性に戻るのですが、間食をしてしまうと、またすぐに酸性の状態に戻ってしまい、歯の修復が追い付かなくなってしまいます。

1日3回しっかり歯磨きをしていても、ジュースなど、子供は500mlを一気に飲むことはできませんので、チョビチョビと1時間半かけて飲んだ場合、お口の中は ずっと強い酸性を維持してしまうのです。


朝食を食べ、酸性からアルカリ性に戻ろうとしてる途中で間食をしてしまい、またアルカリ性に戻る頃には昼食を食べ 再び酸性に。これだと中々、アルカリ性の時間が確保されず、歯の修復が追い付かなくなってしまうのです。

更に、お口の中がアルカリ性に戻るまでの時間には相当の個人差があるため、1日3回しっかり歯磨きをしていても虫歯のリスクの高いお子さんは酸性の時間が長くなってしまい食生活によっては虫歯ができてしまいます。

虫歯ができやすい方は歯磨きだけでなく生活習慣から見直さなければなりません。

当院ではそれぞれのリスクに合わせて、歯磨きの方法や生活習慣の見直しに関してお話しさせて頂いております。虫歯になりやすくお困りの方は一度ご相談下さい。


フッ素を使用した虫歯予防についてご両親に最低限知っておいて頂きたい知識 


フッ素って何?

フッ素は地球の地殻の中に多く含まれる元素で、フッ素化合物として様々な他の元素と結合し存在しています。土壌や岩等のミネラル成分であり、雨水が流れていく際にフッ素イオンが溶出し、河川や海にはフッ素イオンが存在します。

その水分を吸収している海産物だったり農産物にも当然フッ素が含まれており、私達は生活の中でフッ素を常に摂取しています。

フッ素が虫歯を予防する仕組みは?

自然界に存在するフッ素より高濃度のフッ素が虫歯を予防する効果がある事が発見され、その後多くの実績を伴う論文が発表されています。

フッ素は萌出したての歯を強くする効果、虫歯菌の活動を抑制する効果の2つの効果によって虫歯を予防します。

歯の表面の成分であるハイドロキシアパタイトと結合し、フルオロアパタイトと化学的に変化する事で強化され虫歯になりにくくなります。

フッ素利用の方法

フッ素塗布・・・高濃度のフッ素を歯科医院で塗ってもらいます。年に4回程度が一般的ですが、虫歯のリスクが高いお子さんには1か月に1度塗布を行う事もあります。

フッ化物洗口・・・フッ素を溶かした水を30秒から1分の間口の中にいれ、ブクブクとうがいを行い時間が来たら吐き出します。人数の多い集団の場で行う場合、効率よく行う事ができるため、幼稚園や学校等で行っている所があります。
毎日行う方法と、1週間に1度行う方法があります。

歯磨き粉・・・現在の日本で販売されている歯磨き粉には低濃度ですがフッ化物が殆どの製品に含まれております。フッ素塗布やフッ化物洗口と併用すると効果的です。(論文→虫歯予防のための異なるフッ化物濃度の歯磨き粉

フッ素塗布はいつから始めるか

フッ素は歯が生え始めた時期によく歯に取り込まれるため、乳歯の萌出し始めた1歳から、永久歯が放出し終わる中学生に対して効果的だと考えられています。

日本の大学の研究では、中学まで定期的にフッ化物による虫歯予防を行ったお子さんは行っていないお子さんと比較して60%の虫歯を予防したという研究があります。

また、近年わかってきた事として歯周病で歯の根の部分が露出してきた患者さんの根の虫歯になりやすい部分の虫歯にも効果的だと考えられるようになってきました。

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